こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第20回として、「HbA1cは必ず血糖値を反映するの?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
糖尿病教室シリーズでは、これまで数回にわたって『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』の重要性についてお話ししてきました。
それでは、HbA1cの値は必ず血糖値を正しく反映してくれているのでしょうか?
盲目的にHbA1cの値を過信してしまうと、痛い目に遭うこともあります。
今回はそんなお話です。
HbA1cは平均血糖値と乖離することもある
HbA1cは直近1〜2ヵ月の間の平均血糖値を反映する指標、というのはこれまでもお話しした通りです。
しかし、HbA1cは血糖値によってのみ規定されているわけではありません。
そもそもHbA1cが何かというと、全身に酸素を届ける役目をしている赤血球の色素『Hb(ヘモグロビン)』が、糖とくっついているの割合を表すものでした。
血液中の糖の濃度(血糖値)が高いと、より多くの糖がヘモグロビンとくっつくので、HbA1cが上昇するんでしたよね。
しかし、たとえばヘモグロビンの回転率が高かった場合はどうでしょうか?
ヒトのからだを構成するものの多くは、常に新しく作られて、古いものは壊されることを繰り返しています。
ヘモグロビンを含んでいる赤血球も同様です。
新しい赤血球が急激に増えると、当然まだ糖化していないヘモグロビンの割合が増えて、HbA1cの割合(%)は下がります。
新しい赤血球が急激に増える状況と言われてもピンと来ないかもしれませんが、代表的なのは輸血や、鉄が欠乏して貧血を起こしている方に鉄剤を投与したとき等です。
反対に赤血球の寿命が延びて、通常よりも赤血球が血液中に長く滞在する場合は、血液中の糖にさらされる時間が長くなるため、糖化ヘモグロビンの割合(%)は上がります。
具体的には、鉄が欠乏して貧血を起こしているとき等です。
鉄はヘモグロビンの材料として必要なので、鉄が欠乏していると赤血球があまり作れません。
すると、身体が「今いる赤血球を少しでも長く使わないと…!」と考えて、赤血球をあまり壊さなくなり、赤血球の寿命が延びるわけですね。
つまり、鉄が欠乏して貧血を起こしている(鉄欠乏性貧血)パターンでは、鉄が不足している間はHbA1cが高くなり、鉄剤を補充するとHbA1cが低くなる、という経過を辿ります。
つまり、基本的には下記の通りです。
- 赤血球の寿命が長くなる病態(鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、脾臓摘出後 など)
→ HbA1cが高くなる - 赤血球の寿命が短い病態(貧血の回復期、溶血性貧血、肝硬変 など)
→ HbA1cが低くなる
基本的に外来ではHbA1cを指標として評価することが多いですが、こうした病態があるとHbA1cと実際の血糖値が乖離している場合があるため、注意が必要です!
今回の内容は以上となります。
本サイト『あおいろサークル』は、SNS上で糖尿病の啓発活動を行ってきた複数の糖尿病内科医による、糖尿病と関わるすべてのひとのためのメディアです!
今回のようにYouTubeで動画コンテンツも定期的にUPしているので、ぜひチャンネル登録お願いします!
Twitter(@aoiro_circle)でも更新情報をお伝えしますので、是非お気軽にフォローお願い致します!
コメント