こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第9回として、「糖尿病の『1型』と『2型』ってなに?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
日本人の糖尿病患者はほとんど2型糖尿病
糖尿病には大きく分けて『1型糖尿病』と『2型糖尿病』があります。
一般的に世間の皆さんがイメージしている『糖尿病』は、基本的に『2型糖尿病』を指します。
遺伝的な体質や生活環境など、複合的な要因によって発症すると言われていて、日本人の糖尿病患者さんの約95%はこの『2型糖尿病』と推定されています。
ちなみに、ひと言に『2型糖尿病』といっても、人によって状態は異なります。
肥満によるインスリン抵抗性が主体で糖尿病になっている方、インスリン分泌低下により標準体型〜痩せ型でも糖尿病を発症している方など、同じ『2型糖尿病』であっても病態が同じとは限らないわけです。
また、『2型糖尿病は生活習慣が原因』と思っている方も多いですが、実際のところはむしろ体質や遺伝的な素因が非常に強いんです。
100kgを超えるくらいの肥満があっても全く血糖値が問題ない方もいれば、他人よりも食が細い痩せ型の方でも糖尿病を発症してしまう方もいるのがその証拠。
もちろん食生活が全く関係ないわけではありませんが、『2型糖尿病は自己責任』みたいな誤った価値観が世間からなくなっていくことを願うばかりです。
1型糖尿病
『1型糖尿病』はウイルス感染などをきっかけとして、体内の免疫のはたらきが間違えて膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)を壊してしまい、インスリンを作れなくなってしまう、という病気です。
こちらは発症しやすい遺伝的な素因も研究で分かってきていますが、2型糖尿病よりは遺伝的な要素が少なく、生活習慣とも全く関係なく発症することが特徴です。
1型糖尿病の中にもいくつか種類がありますが、どれも『インスリン分泌低下』によって糖尿病を発症する、という点では共通しています。
また多くの場合、インスリンを出す細胞は比較的急速に壊されてしまうため、数ヵ月程度でかなりの高血糖に至ります(急性発症1型糖尿病)。
さらに進行が早いタイプであれば、発症して数日で体内のインスリンが枯渇してしまうようなケースも(劇症1型糖尿病)。
どのケースでも『インスリン分泌低下』が主体となるため、診断されてすぐにインスリン注射を開始しないといけないことがほとんどです。
そして失われた膵臓のβ細胞は再生しないため、大変ではありますが一生インスリンを手放すことができません。
インスリン分泌が残っている2型糖尿病の方と違って、血糖値に応じて身体が勝手にインスリンを調整してくれたりもしないので、2型糖尿病と比べると血糖値が不安定になりがち。なかなか治療も難しいです。
最近は医学の進歩によっていろんな血糖管理用のデバイスがあるので、そうしたものを駆使しながら治療に臨むことが多いですね。
なお、『1型糖尿病は小児期に発症する』というイメージを持っている方が多いですが、成人期〜高齢者で発症するケースも決して珍しくはありません。
緩徐に進行するタイプの1型糖尿病(緩徐進行1型糖尿病)もあり、その場合は診断時点でまだ体内にインスリンが残っているため2型糖尿病と誤診されてしまうケースも。
最初に糖尿病の診断をつけるときに、僕たち医師側はちゃんと『1型糖尿病じゃないか』を意識する必要があります。
今回の内容は以上となります。
本サイト『あおいろサークル』は、SNS上で糖尿病の啓発活動を行ってきた複数の糖尿病内科医による、糖尿病と関わるすべてのひとのためのメディアです!
今回のようにYouTubeで動画コンテンツも定期的にUPしているので、ぜひチャンネル登録お願いします!
Twitter(@aoiro_circle)でも更新情報をお伝えしますので、是非お気軽にフォローお願い致します!
コメント