【第8回】糖尿病って治るの?【糖尿病教室Shorts】

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こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。

内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。

今回は第8回として、『糖尿病って治るの?』というテーマで簡単にまとめています。

ぜひご覧になってください。


目次

糖尿病は治らない

結論から言うと、残念ながら糖尿病は完治する病気ではありません

初回の糖尿病教室の際にも言っていますが、糖尿病とは血糖値が上がりやすい『体質』になってしまっている状態のことを指します。

体質に由来する病気なので、糖尿病とは一生付き合っていく必要があるわけです

具体的なことを言えば、糖尿病になってしまう方のほとんどは、正常な血糖値を維持するために必要なインスリン量を膵臓から出せていない状態になっています。

そして現代医学では、その膵臓から出せるインスリンの量を回復させるような治療法がないわけです

また、加齢とともに内臓の機能というのはどうしても低下していくもの。

膵臓もその例外ではなく、歳をとるほど糖尿病の発症率が上がってしまうのもそうした背景があります。

膵臓の働きを取り戻すことは難しく、そのため糖尿病に『完治』は見込めないわけですね。

糖尿病の『寛解』ってなに?

最近は専門家の間でも糖尿病の『寛解』という概念が提唱されており、これを『治った』『完治した』と勘違いしている方もいらっしゃるようです。

しかし、『寛解』『完治』は別物です。

『寛解』という言葉は、医療現場では特に血液腫瘍(白血病など)の領域で使われることが多いです。

その意味を簡単に言うと、『病気の症状は消失したものの、再燃する可能性はある状態』です。

一方で『完治』とは『完全に病気が消えた状態』のことを指します。

つまり『寛解』『完治』の大きな違いは、『再燃/再発する可能性があるかどうか』になります。

ちなみに糖尿病における『寛解』とは、『薬物療法を行っていない状態でHbA1c値6.5%未満が3ヵ月以上持続している状態』と定義されています。

つまり『血糖値だけを見れば糖尿病のない人と変わらない状態を維持できている』という印象ですね。

これは糖尿病が『完治』したと呼べるでしょうか?

そうでないのはもうお分かりですよね。

前半でもお話ししたように、糖尿病のない人と比べて膵臓のはたらきが低下している状態は変わっていないわけです。

この状態で『糖尿病が治ったんだ!』と思って食事・運動療法をおろそかにしてしまうと、もちろんまた血糖値は上昇してきてしまうわけですね。

仮に『寛解』に至ったとしても、食事運動療法も通院も続ける必要があるわけです!

どうしたら『寛解』になれるの?

ここまで聞くと、「治らないのは分かったけど、どうやったら『寛解』になれるの?」と思われたかもしれません。

実は、誰しもが寛解状態に入れるわけではないんです。

一般的に糖尿病で寛解状態まで改善したほとんどのパターンは、元々肥満を合併していて、食事運動療法で大きく減量に成功した場合になります。

膵臓からある程度インスリンは充分に出せていたけど、肥満によってインスリンが効きづらくなっていた(インスリン抵抗性)人が、減量によって血糖値が正常化したわけですね。

つまり、治療前から充分にインスリンを出せている方でないと『寛解』には至らない、ということです。

一言に『糖尿病』といっても一人一人状態は異なるので、「私は寛解に入れないからやり方が悪いんだ…」などと思わないようにしましょう

糖尿病治療においては他人と自分を比べないことがとても重要です!


今回の内容は以上となります。

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