こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第6回として、『血糖値が高いとどんな症状が出るの?』というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
血糖値が高くても無症状のことも多い
「長らく健康診断を受けていなかった人が、風邪などで病院で血液検査を受けたところ、すごく血糖値が高くて糖尿病だと判明した」
なんていうケースも多いくらい、実は糖尿病で血糖値が高くても無症状のことも多いです。
糖尿病に限らず、たとえば高血圧症・脂質異常症なども、他の多くの病気と違って『どこかが痛い』『気分が悪い』などといった不快な症状はあまり出ません。
でも『症状は出なくても徐々に身体を蝕んでいく』というのが、これらの病気の恐ろしいところなんです。
血糖値が高くても本当に全く症状が出ないのかというと、いくつか特徴的な症状はあります。
① 高浸透圧による症状:口渇・多飲・多尿
糖尿病の症状といえば、医療従事者の多くがまず思い浮かべるのは『口渇・多飲・多尿』というワード。
文字通り『喉が渇いて』『水をたくさん飲んで』『おしっこの量が増える』というものです。
これがどうして起こるのかを解説しましょう。
まず、高血糖になると尿に糖が出てくるようになります。
糖は周りの水分を引っぱる性質(浸透圧)があるので、尿に糖が出てくると、それに水分も引っぱられて尿量が増えます。
そして尿量が増えると、身体から出ていく水の量が増えているわけなので、喉が渇いてたくさん水を飲むようになるわけです。
この『口渇・多飲・多尿』が特に糖尿病の症状としては有名ですが、これだけではありません。
② インスリン不足による症状:倦怠感・空腹感など
糖尿病で血糖値が高くなっている原因はなんだったでしょうか?
そう、『インスリンのはたらきが悪くなっているから』でしたよね。
そしてインスリンの本来のはたらきは、『糖質をエネルギーに変えること』でしたよね。
つまり、糖尿病で『血糖値が高い』という状況を言いかえると、
『摂取した糖質をエネルギーとして使えていないから、血液の中をぐるぐる回っているだけ』
というわけです。
『血糖値が高い』=『栄養が豊富にある』と勘違いしている方が多いかもしれませんが、本当は『血管の中にエネルギー源はあるのに、それを使えていない』という状態なんです。
ということは、エネルギーを上手く生み出せていないため、『なんだか身体がきつい/だるい』といった『倦怠感』や、『(エネルギー不足なので)やけにお腹が空く』といった『空腹感』を感じてしまうこともあるわけです。
症状が出なくても治療は必要!
まとめると、血糖値が高いことで『口渇・多飲・多尿』や『倦怠感/空腹感』などが生じることがあるわけです。
「なんだ、大した症状は出ないじゃないか。それなら放置しててもいいんじゃない?」
と思った方もいるかもしれません。
しかし、最初に言ったように『症状は出なくても徐々に身体を蝕んでいく』というのが、これらの病気の恐ろしいところなんです。
血糖値が高い状態が長く続いてしまうと、身体の中のいろいろな臓器にダメージが蓄積していきます。
これを『合併症』と言い、この合併症を進行させないために、良い血糖値を維持する治療が必要なわけです。
今回の内容は以上となります。
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