【第50回】体調不良時の対応!『シックデイ』ってなに?【糖尿病教室Shorts】

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こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。

内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。

今回は第50回として、「体調不良時の対応!『シックデイ』ってなに?」というテーマで簡単にまとめています。

ぜひご覧になってください。


目次

『シックデイ』とは?

糖尿病のある方が、治療中に発熱嘔吐下痢食欲不振などの体調不良を起こした場合、その状態を『シックデイ』と呼びます。

シックデイでは、普段血糖が良好な方でも血糖値が大幅に上昇して糖尿病性ケトアシドーシス高浸透圧高血糖状態を起こしたり、普段よりも食事が減ることでお薬による低血糖を起こしたりするリスクが上がります。

そうならないように、糖尿病をもつすべての方はシックデイの際の対応について知っておく必要があります

今回の記事ではシックデイ時の一般的な対応について解説します!

シックデイの対応

シックデイ時の対応は症状や使用しているお薬などによっても異なるため、誰しもが同じ対応で良いわけではありません。

そのため個別の具体的な対応については主治医と相談する必要がありますが、共通して知っておくべき対応として、以下のポイントを押さえておきましょう。

① 主治医に連絡して指示を受ける

体調が悪い場合は、まず主治医に連絡して適切な指示を受けてください。

特にインスリン治療中の方は、自己判断でインスリンを中止することは大変危険です

② 医療機関を受診する

発熱や嘔吐、下痢などの消化器症状が強い場合は、迷わず医療機関を受診してください

「これくらいで病院に行くのは…。」と悩むこともあるかもしれませんが、糖尿病のお薬を使用している場合の体調不良は、先ほど挙げたような糖尿病性ケトアシドーシス高浸透圧高血糖状態低血糖などのリスクがあります。

特に普段と食事量が変わってしまうような症状の場合、シックデイ対応に関して少しでも疑問があれば医療機関を受診することをおすすめします。

③ 薬の調整

薬については人それぞれ内服しているものが違うため、主治医に対応を事前に確認しておくのが無難です。

今回は、シックデイの際に注意すべきとされる薬について挙げておきます。

ビグアナイド薬(メトホルミン)

ビグアナイド薬(メトホルミン)は、低血糖を起こすリスクはさほどありませんが、ひどい体調不良の場合には『乳酸アシドーシス』と呼ばれる副作用を起こすリスクがあります。

軽い風邪くらいであれば中止しないよう指示することもありますが、一般的には中止するのが望ましいとされています。

SGLT2阻害薬

尿から糖分を出すことで血糖値を下げるSGLT2阻害薬は、尿量が増えるという特徴があることから、体調不良の際には脱水症を起こすリスクになります。

また、食事量が不十分な場合にも尿から糖分を出し続けてしまうため、体内の糖質が枯渇してケトアシドーシスを起こすリスクも知られています。

以上の理由から、食事が充分に摂れないような状況においては、SGLT2阻害薬は中止する必要があります。

SU薬・グリニド薬・インスリン

SU薬やグリニド薬、そしてインスリン製剤は、いずれも低血糖のリスクがあるお薬です。

そのため、普段よりも食事量が少ない場合には低血糖を起こす引き金になってしまいます。

食事をどれくらい摂れるかに応じて調整を指示することが多いため、これらの薬を使用している場合は主治医の指示に従うようにしてください。

④ 水分補給

糖尿病がある方では、血糖値が上がることで尿糖とともに尿量が増えるため、体調不良の際に脱水症を起こしやすいです。

脱水を防ぐために、充分な水分を摂取するようにしましょう。

仮に食事もあまり摂れていないような状況であれば、糖分が含まれた飲み物で同時にエネルギー補給も行うことが推奨されます。

⑤ 絶食を避ける

糖尿病がある方は、もともと「糖質をエネルギーに変えるのが苦手な体質」とも言えます。

体調不良で食事が摂れなくなると、ますますエネルギーを作るのが難しくなるため危険です。

そのため、体調が悪い場合でも絶食は避けることが重要です。

食欲がない場合は、口当たりが良く消化の良いもの(ジュース、スープ、おかゆなど)を選び、特に炭水化物水分が不足しないように心がけましょう!

まとめ

シックデイは、糖尿病の方にとって血糖値が乱れやすい危険な状態です。

体調不良時には主治医の指示を仰ぎ、脱水を防ぎながら適切にエネルギー補給を行いましょう。

特にインスリン治療中の方は、自己判断で治療を中止しないよう注意が必要です。

十分な水分と炭水化物を摂りながら、体調回復を目指してください。


今回の内容は以上となります。

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