こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第48回として、「血糖値が1,000超え!?ケトアシドーシスってなに?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
1型糖尿病の友人が『発症時の血糖値が1000くらいあった』なんて言ってましたが、そんなこと本当にあるんですか?
実は、それは十分に起こり得ることなんです。
『糖尿病性ケトアシドーシス』とは?
血糖値 1,000 mg/dLを超えるような状態は、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という病態で起こることがあります。
この状態は、特に1型糖尿病の方が診断されるきっかけとなることが多いです。
糖尿病性ケトアシドーシスが起こる仕組み
糖尿病性ケトアシドーシスは、一般的にインスリンが極端に不足してしまった場合に起こります。
インスリンが極端に不足すると、糖をエネルギー源として利用することが難しくなります。
インスリンのはたらきについて復習したい方はこちらの記事をご覧ください。
糖からエネルギーを得るのが難しくなった場合、体は代わりに脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。
このときに生成されるのがケトン体という物質です。
ケトン体自体はエネルギー源として使えるものですが、酸性の性質を持っています。
そのため、大量に発生すると血液が酸性に傾き(アシドーシス)、体に大きな負担を与えてしまいます。
つまり…
- インスリンが極端に不足
- エネルギーを得るために脂肪を分解してケトン体が作られる
- 血液が酸性に傾く
これが『糖尿病性ケトアシドーシス』と呼ばれる状態です。
インスリンが極端に欠乏した状態というのは、体内でインスリンを作ることが難しい1型糖尿病の患者さんにおいてよく見られます。
特に発症してまだ診断を受けていないタイミングや、何らかの原因でインスリンを打たなくなってしまった場合に、糖尿病性ケトアシドーシスを起こすことが多いです。
糖尿病性ケトアシドーシスの症状
糖尿病性ケトアシドーシスでは以下のような症状が出ます。
- 強いのどの渇き
- 頻尿
- 吐き気や嘔吐
- 腹痛
- 意識障害(重症の場合)
純粋な血糖値による合併症としては最も重症であり、血糖値 1,000 mg/dLを超えることも珍しくありません。
即時の入院・迅速な対応が必要です。
2型糖尿病でも起こる?
糖尿病性ケトアシドーシスは1型糖尿病の方に起こることが多いですが、2型糖尿病の方でも起こることがあります。
特に「ペットボトル症候群」や「ソフトドリンクケトーシス」として知られているように、清涼飲料水を大量に摂取して血糖値が急上昇すると同様の状態を生じることがあります。
これは、インスリンが不足している状態で過剰な糖分を摂取したことが引き金となって、体が同様にケトアシドーシスを引き起こすケースです。
今回の内容は以上となります。
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