こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第4回として、『インスリン抵抗性とインスリン分泌低下』というテーマで簡単にまとめています。
専門用語を使うと難しい話に感じるかもしれませんが、治療の分かれ道になるような大事な考え方です!
ぜひご覧になってください。
インスリンのはたらきが悪くなる2つの原因
以前解説しているように、糖尿病において血糖値が上がってしまう原因は、血糖値を下げるホルモン『インスリン』のはたらきが悪くなることでした。
インスリンのはたらきが悪くなる原因は、主に2つのパターンがあります。
それが『インスリン抵抗性』と『インスリン分泌低下』です。
インスリン抵抗性
『インスリン抵抗性』というのは、インスリンが通常よりも効きにくい体質のことを言います。
糖尿病がない方と比べても体内でインスリンを多く作れているにもかかわらず、インスリン抵抗性のせいで血糖値が上がってしまっている糖尿病の方は非常に多いです。
遺伝的な素因や体質も大いに影響しますが、特に肥満はインスリン抵抗性を悪化させる要因として代表的です。
そのため、肥満によりインスリン抵抗性が強くて血糖値が上がっている方の場合、食事運動療法で減量することによって血糖値が大幅に改善することも珍しくありません。
インスリン分泌低下
『インスリン分泌低下』とはその名の通り、体内で作れるインスリンの量が低下している体質のことを言います。
そもそもインスリンを作る能力には遺伝的な素因や体質の差が非常に大きく、日本人は欧米人と比べるとインスリンを出す力が低いことが知られています。
そのため、欧米人がまるまると太っても糖尿病を発症しにくいのに対して、日本人は軽い肥満でも糖尿病を発症しやすかったりするわけです。
個人差も大きく、これまでに太ったことのない痩せ型の方でも、体質次第ではインスリン分泌低下により糖尿病を発症する例も決して珍しくありません。
また、インスリンは筋肉・脂肪を作る材料として糖質を利用するために必要なホルモンでしたよね。
そのため、インスリン分泌が低下すると体重を維持できなくなることも多く、
- 痩せ型で糖尿病を発症
- 食事内容は変えていないのに、急激に体重が落ちて糖尿病と診断
といったパターンが、典型的な『インスリン分泌低下』型の糖尿病の特徴です。
病態の違いが治療の分かれ道!?
糖尿病では、この『インスリン抵抗性』と『インスリン分泌低下』の両方の要素を誰もが持っていて、その比率が人によって違う、と考えた方が良いです。
前回の記事でも少し触れていますが、飲み薬の多くは体内のインスリンを利用して血糖値を下げる作用を持っているため、『インスリン抵抗性』がメインの糖尿病の場合、体内にインスリンが充分にあるため飲み薬が比較的効きやすかったりもします。
それに対して『インスリン分泌低下』が主体の糖尿病では、飲み薬だけではなかなか血糖値を目標域まで下げきることが難しい場合も多く、素直にインスリンを外から注射で補ってあげる方がかえって自然な治療だったりします。
つまり『インスリン抵抗性』の要素が強いのか、『インスリン分泌低下』の要素が強いのかによって、治療方針が変わったりするわけですね。
今回の内容は以上となります。
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