こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第36回として、「DPP-4阻害薬ってどんなお薬?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
DPP-4阻害薬に分類される薬
今回解説する『DPP-4阻害薬』に分類されるのは、下記の9種類です。
一般名 | 商品名 |
---|---|
シタグリプチン | ジャヌビア グラクティブ |
ビルダグリプチン | エクア |
アログリプチン | ネシーナ |
リナグリプチン | トラゼンタ |
テネリグリプチン | テネリア |
アナグリプチン | スイニー |
サキサグリプチン | オングリザ |
トレラグリプチン | ザファテック(週1回製剤) |
オマリグリプチン | マリゼブ(週1回製剤) |
糖尿病がある方は、ぜひご自身のお薬手帳を確認して、これらの薬を飲んでいないかチェックしてみて下さい!
日本では、糖尿病で投薬を受けている方のうち60%以上に処方されているので、内服されている方も多いかと思います。
もし内服中の場合は、特に今回の内容はしっかり押さえておきましょう。
DPP-4阻害薬ってどんなお薬?
DPP-4阻害薬は『インクレチン関連薬』と呼ばれる薬の一つです。
ヒトが食事を摂ったとき、摂取した栄養素に応じて、消化管(胃や腸)から『インクレチン』と呼ばれるホルモンたちが分泌されます。
この『インクレチン』は膵臓に働きかけて、食事を摂ったときにインスリンをたくさん出す手助けをしてくれています。
DPP-4阻害薬は、この『インクレチン』というホルモンが体内で分解されるのを抑え、血液中のインクレチンの濃度を上げてくれるお薬です。
インクレチンはあくまで「血糖値が高いときだけ」インスリンを増やしてくれるホルモンなので、このDPP-4阻害薬は単独で低血糖を起こすことは基本的にありません。
しかもDPP-4阻害薬は、薬の種類によっては腎臓や肝臓が悪くても使用可能で、副作用が出る確率も比較的低いです。
体重を増やしたり減らしたりする作用もありません。
つまり、低血糖も起こしづらく、副作用も出づらく、腎臓や肝臓が悪くても使えて、体重にも影響がない、ということでどんな患者さんに対しても処方しやすいわけですね。
ただし、最近はまれな副作用として『水疱性類天疱瘡』という皮膚の病気を発症することがあり、これを発症した場合にはDPP-4阻害薬を中止する必要があります。
1日1〜2回内服するものが多いですが、中には週に1回の内服で良いものもあります。
「週に1回のお薬だと効果が弱いんじゃないの?」と心配になるかもしれませんが、基本的には1日1〜2回内服するお薬に効果は劣らないことが証明されています。
薬の種類も多いですが、どのお薬も効果の違いはあまりなく、平均的にHbA1cを0.5〜1.0%程度下げてくれることが期待されます。
今回の内容は以上となります。
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