こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第30回として、「糖尿病でも運動禁止になるのはどんな人?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
運動療法をすべきでない患者さん
前回の記事では、運動療法により期待できる効果について解説しました。
運動療法を行うことで多面的な効果が期待できますが、その一方で運動療法をするべきではない患者さんもいます。
今回は運動療法をするべきでないのはどんな患者さんなのか、その基準を8つ解説します。
① 血糖管理状況が極端に悪い場合
血糖管理状況が極端に悪い場合は、運動療法をするべきでないとされています。
具体的には、朝食前から血糖値 250 mg/dL以上だったり、尿検査で『ケトン体』という項目が中等度以上陽性の場合などです。
ヒトの身体は、糖質からのエネルギー供給が不足すると、脂肪からエネルギーを取り出そうとします。
その際に生じるのが『ケトン体』という物質です。
つまり尿にケトン体が一定以上出ているということは、糖代謝が上手くいっていないことを表すため、これも糖尿病の状態が悪いことを表す一つの指標になるわけです。
② 網膜症が進行している場合
網膜症が進行している場合も、網膜で出血を起こしたりするリスクになるため、運動療法はすべきでないとされています。
具体的には、『前増殖網膜症』以降まで進行している場合が禁忌とされています。
網膜症についてはこちらの記事で解説しています。
網膜症がある方の場合、運動療法をしていいのかについては眼科の先生に確認するようにしましょう。
③ 腎症が進行している場合
網膜症と同様に、腎症が進行している場合も、運動療法はすべきではありません。
具体的には、第3期(顕性アルブミン尿期)以降からは運動については慎重になる必要があります。
腎症についてはこちらの記事で解説しています。
自分の腎症が今どれくらい進行しているか分からなかったり、運動を積極的にして良いのかが分からない場合には、主治医へ相談してみて下さい。
④ 心肺機能に障害がある場合
言わずとも想像がつくかもしれませんが、心臓や肺が悪い方の場合、運動そのものが命に関わってしまうこともあるため、運動療法をすべきではありません。
運動をすると心臓の必要エネルギーが増えるため、たとえば狭心症があったり心筋梗塞を起こしたことがある方の場合、不足分のエネルギーを供給できずに発作を起こしてしまうリスクがあります。
心臓や肺の病気があるけれども体力を落とさない程度には運動したい、という方は、循環器内科や呼吸器内科の主治医へどの程度の運動なら可能かについて相談するようにしましょう。
⑤ 骨や関節の病気がある場合
骨や関節の病気がある場合も悪化させるリスクがあるため、当然ながら運動には慎重になる必要があります。
肥満のために関節に負担がかかってしまって関節の軟骨がすり減ってしまい、運動が難しくなってますます肥満を助長してしまうケースをこれまでに多々見てきました。
今は大丈夫でも、将来骨や関節の病気に罹るリスクはどんどん上がります。
運動はできるうちから始めて、強い身体を作っておきましょう!
⑥ 急性感染症 / ⑦ 糖尿病性壊疽がある場合
こちらも言うまでもありませんが、感染症や糖尿病性壊疽まっただ中のタイミングで運動するのは推奨できません。
まずは体調を整えるところから。療養に専念しましょう。
⑧ 自律神経障害が強い場合
糖尿病では神経障害の一つとして『自律神経障害』があります。
こちらの記事でも解説していますが、自律神経障害が強いと、起き上がったときに立ちくらみを起こすなど、血圧の調節などにも不調を来すことがあります。
そのような状態ではふらついて転倒したりするリスクになるため、運動は避けるようにしましょう。
今回の内容は以上となります。
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