こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第16回として、「HbA1cってなに?血糖値とどう違うの?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
糖尿病で通院されている方は耳にタコができるほど聞いている『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』という血液検査の項目。
中には健康診断の結果で見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
「糖尿病では血糖値の管理が大事!」と言われているのに、外来では主治医の先生が重視しているのは、いつも血糖値よりも『HbA1c』。
今回はこの『HbA1c』について解説します!
HbA1cってなに?
『HbA1c』とは、血液中のブドウ糖がヘモグロビン(Hb)とくっついた『糖化ヘモグロビン』の割合を指します。
『ヘモグロビン(Hb)』というのは、全身に酸素を届けてくれる赤血球の中の赤い色素のことです。
血液中のブドウ糖が濃い(=血糖値が高い)状態が続くと、糖化ヘモグロビンが増えて、HbA1cが上がります。
反対に、血液中のブドウ糖が薄い(=血糖値が低い)状態が続くと、糖化ヘモグロビンが減って、HbA1cが下がります。
つまりHbA1cの値は、直近の平均血糖値をあらわす指標になるわけです。
どれくらいの期間の指標になるの?
HbA1cは、主に直近1〜2ヵ月くらいの間の平均血糖値を反映する指標です。
よく外来で
今回はHbA1cが少し上がっちゃってましたね。
何か上がった原因として思い当たることとかありますか?
というお話をすると、
昨晩が外食で結構食べすぎちゃいまして…
と患者さんがおっしゃる場面に遭遇します。
しかしながら、HbA1cはあくまで1〜2ヵ月の平均血糖値を反映しているので、採血の前日にドカ食いをしてしまっていたとしても、HbA1cの値に影響を及ぼすことはほとんどありません。
つまりHbA1cが上がっているということは、直近の数日ではなく、直近1〜2ヵ月の平均血糖値が高くなっていた、と考えられるわけです。
そのため、だいたい1〜2ヵ月おきに受診されることが多い糖尿病患者さんにとって、前回の外来以降の血糖の状況が把握しやすいので、外来ではHbA1cが重視されるんですね。
血糖値との違いは?
血糖値が大事なら、外来でも血糖値そのものを見ればいいんじゃないの?
と思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、血糖値は一日の中でも食前か食後かなどの条件によって大きく変動します。
条件を揃えるために、仮に通院のときに毎回朝ごはんを抜いていたとしても、空腹時の血糖値がどれくらいなのかは分かりますが、食後にどれくらい血糖値が上がっているかは分からないわけです。
実際、空腹時の血糖値は100ちょっとくらいでも、食後には300近くまで血糖値が上がってしまう患者さんもいらっしゃいます。
その点、空腹時血糖値が良くてもHbA1cが高い場合は…
この患者さんは、食後に血糖値がかなり上がっているのかも…?
といった予想ができるわけです。
採血した瞬間の血糖値だけでは普段の血糖推移は予想できないので、HbA1cと血糖値を組み合わせて考えることが大事なんですね。
今回の内容は以上となります。
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