こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第13回として、「糖尿病の網膜症ってなに?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
『網膜』ってなに?
網膜症のことを知る前に、まず『網膜』とはなんなのかについて簡単に解説します。
『網膜』というのは、眼球の裏側にある膜です。
この網膜の部分には、光や色を感じる神経細胞が敷き詰められています。
ここで目から入ってきた光を神経信号に変換することで、脳に視覚情報を送ることができるんです。
血糖値が高い状態が長期間続くと、この『網膜』に酸素や栄養を与えている細い血管が徐々にボロボロになっていきます。
これが『網膜症』です。
網膜症を起こすとどうなるの?
網膜に酸素や栄養を送る血管がボロボロになると何が起こるのでしょうか?
初期(単純網膜症)には、細い血管から血液が漏れ出てきて、部分的に小さな血溜まりを作ったり(点状出血)、血液中のタンパク質や脂質が網膜に付着したりします(硬性白斑)。
進行してくると(前増殖網膜症)、血管が詰まって網膜の一部に酸素が行き渡らなくなり、その部分の神経細胞が働けなくなってしまいます(軟性白斑)。
しかし、ここまではまだ小さな変化で、自覚症状がないことがほとんどです。
さらに進むと(増殖網膜症)、網膜の中で酸素が不足する領域が大きくなります。
ヒトの身体というのはよく出来ていて、酸欠になっている場所に酸素を届けるため、新しく血管を伸ばそうとするんです(新生血管)。
しかしながら新生血管は脆く、これが破れて大きな出血(硝子体出血)を起こすと、一気に視力が大幅に落ちたりします。
他にも、新生血管の周りに線維性の膜ができて、それに引っ張られて『網膜剥離』を起こしたりすることもあります。
必ず眼科に定期通院を!
網膜症がどのように起こってくるか、ご理解いただけたでしょうか。
何よりも恐ろしいのは、網膜症はある程度進行していても自覚症状に乏しい、という点です。
患者さんに眼科を受診することを勧めても、
「別に見え方には問題ないんですよね」
と言って、なかなか眼科を受診しようとしない方も多いです。
しかし多くの場合、「症状が出る時=突然大幅に視力が落ちる時」です。
症状がなくても影で進行している可能性があるので、糖尿病と診断された時点で、必ず定期的に眼科に通院するようにしましょう!
眼科での検査である程度進行していた場合、網膜にレーザーを当てることで、新生血管の発生を抑えたり、すでに作られた新生血管を退縮させたりして、視力の低下を予防することができます(網膜光凝固術)。
今回の内容は以上となります。
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