こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。
内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。
今回は第12回として、「糖尿病の自律神経障害ってなに?」というテーマで簡単にまとめています。
ぜひご覧になってください。
『自律神経』ってなに?
まず『自律神経』とはなんなのかを知っておきましょう。
『自律神経』とはその名の通り、意識しなくても身体が勝手に(=自律的に)働かせている神経。
どんなはたらきをしているかというと、主にさまざまな内臓の調整です。
具体的には、身体の状態に応じて呼吸や血圧・心拍数を調節したり、胃や腸といった消化管の動きを司って消化・排便を調整したりと、生きていく上で欠かせないはたらきをしています。
一般的に世間の方々が、よく分からない体調不良に関して『自律神経の調子が悪いのかも…』みたいに言うことがありますが、正直なところなんでもかんでも自律神経のせいにするのは間違っているんじゃないかとも思います(苦笑)。
どんな症状が出るの?
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、神経障害の一環としてこの自律神経にも問題が生じることがあります。
それでは、具体的にどんな症状が出てくるのでしょうか。
たとえば、先ほど「自律神経は血圧や心拍数を調整する」と言いましたが、もっと厳密に言えば、自律神経は心臓の動きや血管の伸び縮みを調整しているわけです。
ヒトは立ち上がったときに重力に逆らって脳に血流をしっかり送らないといけなくなるわけですが、そうした部分の自動調整も自律神経が担っていいます。
つまり糖尿病で自律神経が侵されると、立ち上がったときに重力の影響で脳の血流が減ってしまい『起立性低血圧』、いわゆる『立ちくらみ』が起こりやすくなったりします。
他にも、胃や腸は食べたものを送り出すために『蠕動(ぜんどう)運動』をしていますが、これも自律神経が調整しています。
胃の動きが悪くなると、胃の中に食べ物がたまってしまって食欲が落ちてしまったり、腸の動きが悪くなると、慢性的な下痢や便秘を起こしてしまったりするわけです。
さらに、尿を溜めておく『膀胱』の動きも自律神経が調整しています。
膀胱の働きが悪くなると、残尿が多くなって尿からの感染症を起こしやすくなります。
また、男性であれば自律神経障害は勃起不全(ED)の原因にもなります。
こちらはデリケートな話題なので、特に主治医にもなかなか相談しづらい症状として悩まれている患者さんも多いようです。
まとめ
このように、糖尿病で自律神経障害を起こすと…
- 起立性低血圧(立ちくらみ)
- 食欲低下、下痢・便秘
- 残尿量の増加、尿路感染症
- 勃起不全
などのさまざまな症状を来す可能性があります。
一度出てしまった神経障害は、根本的な治療をすることは難しく、基本的に症状を緩和するための治療を行うしかありません。
こうした神経障害を進めさせないために、日頃からなるべく良い血糖値を目指して生活しましょう!
今回の内容は以上となります。
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