【第17回】HbA1cの目標値は?【糖尿病教室Shorts】

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こんにちは!
糖尿病を楽しく知るメディア『あおいろサークル』です。

内科医トワ(@DrTowa108)による、糖尿病という病気に対する理解を深めるためのエッセンスをまとめた『糖尿病教室Shorts』シリーズ。

今回は第17回として、「HbA1cの目標値は?」というテーマで簡単にまとめています。

ぜひご覧になってください。


前回の記事では血糖推移の指標となる『HbA1c』という血液検査の項目について解説しました。

まだご覧になっていない方は、ぜひそちらからお読みください。

今回はそのHbA1cの目標値について解説します!

目次

基準値と目標値は違う

まずはHbA1cの基準値を知っておきましょう。

実は施設によってHbA1cの基準値は微妙に違ったりしますが、だいたい5%台くらいです。

ちなみに、基準値を超えてもすぐに糖尿病と診断されるわけではありません。

糖尿病の診断は基本的に血糖値をもとに下されますが、参考所見としては『HbA1c 6.5%以上』という項目があります。

それでは、すでに糖尿病の診断を受けている方はどれくらいを目標にすれば良いのでしょうか?

基準値を目指して6%未満?

診断基準を下回る6.5%未満?

いずれも違います

血液検査における基準値というのは、あくまで『糖尿病がない方のほとんどがこの範囲内に入ります』という値です。

糖尿病とは『血糖値が上がりやすい体質になってしまう病気』

糖尿病の方が、糖尿病のない方と同じ基準域を目指すのはかなり難しいです。

そこで、一般的に糖尿病がある方のHbA1c目標値は『7%未満』とされています。

なぜ7%未満?

それでは、なぜ7%未満が良いとされているのでしょうか。

糖尿病をなぜ治療しなければならないかは覚えていますか?

ご存じなければ、こちらの記事をまずはご覧ください。

基本的には『合併症』を進めさせないことが目標でしたよね。

その合併症を進めさせないために大事なのが、『HbA1c 7%未満』を目指すことだとされているんです。

その根拠として有名なのが『熊本スタディ』という研究。

昭和62年から平成10年にかけて、日本人の2型糖尿病患者さんを対象にした研究で、「HbA1c 6.9%未満であれば細小血管障害が出現するリスクが低くなる」ということが報告されたものです。

糖尿病の『細小血管障害』を復習したい方はこちら↓

これと諸外国での研究報告の結果も踏まえて、2013年に日本糖尿病学会から出されたのが『熊本宣言2013』です。

くまもんが燦然と輝いていますね…!笑

7%未満だけじゃない

ただし、糖尿病であれば全員が7%未満を目指すわけではありません。

『7%未満』という目標は、あくまで『合併症の進行を予防するための値』

7%未満を無理に目指そうとして低血糖を起こしてしまうくらいなら、目標は『8%未満』でも良いです

反対に、少しでも合併症の進行を遅らせたい若い患者さんなどでは、食事や運動、低血糖リスクの少ない薬だけで達成可能であるなら『6%未満』を目指しても良いです。

高齢者における目標はまたさらに複雑だったりするため、次回の記事でお伝えします。


今回の内容は以上となります。

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